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Column コラム

市場規模は100兆円超! シニアの心をつかむWeb制作とSNS活用事例

近年、日本社会は急速に高齢化が進んでいます。

総務省が2024年4月に発表した人口推計では、65歳以上の高齢者は3,600万人を超え、総人口の約29%を占めるまでになりました。

この高齢化の進展は、日本の社会や経済に大きな影響を与えています。医療や介護の課題を生む一方で、企業にとっては新たなビジネスチャンスを生み出すきっかけにもなっています。

今回は、拡大を続けるシニア市場に向けたホームページ制作のポイントや、SNSを中心としたデジタルメディアの活用事例をご紹介します。

拡大を続けるシニア市場

内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によると、2025年には団塊の世代がすべて75歳以上となり、国民の3人に1人が65歳以上になる見込みです。

シニア人口が増えることで消費活動も拡大し、65歳以上のシニア向け市場の規模は2025年までに100兆円を突破すると予測されています(みずほ銀行産業調査部)。

 

シニアの需要は医療や介護分野だけにとどまらず、食品、衣料、教育、娯楽といった日常生活に密接した分野にも広がっています。さらに「健康維持」「予防」への関心も高く、デジタル技術を活用した「シニアDX」への期待も高まっています。

 

また、総務省「高齢者のインターネット利用率(令和3年)」によると、60~69歳のインターネット利用率は8割を超えており、スマートフォンやECサイトの利用も急速に普及。従来の「シニアはデジタルに弱い」という認識は過去のものとなりつつあります。

拡大を続けるシニア市場

シニア層の分類と特徴

「シニア」と一括りにしても、その生活スタイルや価値観は多様です。マーケティングを行う際には、細かく分類して戦略を立てることが欠かせません。

アクティブシニア

60歳を過ぎても仕事や趣味に意欲的で、健康志向が高く、活動的なライフスタイルを送っているシニアを指します。

この層はマーケティングにおいて、もっとも注目されている層のひとつです。

仕事や趣味、スポーツなどを楽しむことが多く、SNSやECといったデジタルにも強い点が特徴です。

中には、孫と一緒に「推し活」に励む人もいます。

アクティブシニア向けの商品やサービスとしては、スポーツ用品、旅行アイテム、脳トレ関連商品、スポーツジムなどが挙げられます。

ノンアクティブシニア

アクティブシニアとパッシブシニアの間に位置するシニアを指します。

身の回りのことは自分でこなせますが、体力や認知機能の低下、生活・経済面での不安など、さまざまな理由から積極的に外出するよりも、自宅で穏やかに過ごすことを好む傾向があります。

 

ノンアクティブシニア向けの商品やサービスとしては、手芸や園芸などのホビー用品、家庭用の健康グッズ、本・雑誌などが挙げられます。

パッシブシニア

日常生活において、第三者の支援を必要とするシニアを指します。

「ケアシニア」とも呼ばれ、外出や趣味といった活動が制限されるなど、身体的な問題を抱えているケースが多く見られます。

パッシブシニア向けの商品やサービスとしては、車椅子や介護ベッドといった介護用品、訪問介護・デイサービスなどの介護サービス、さらには家事代行サービスなどがあります。

パッシブシニア

シニア向けWebサイト制作のポイント

高齢化社会の進展に伴い、シニア層の購買力はますます高まっています。

しかし、シニア層は視力や聴力の低下などにより、複雑な操作や細かい文字を読むことが苦手な場合が多く見られます。

そのため、シニアマーケティングでは、シニア層にとって使いやすいインターフェースを提供することが必要不可欠です。

具体的には、以下のような点に注意する必要があります。

文字は大きくはっきりと

文字が見にくいと、ホームページを読むのも億劫になってしまいます。

そのため、シニア向けのホームページでは「フォントサイズを大きくする」「行間を広めにとる」といった工夫が必要です。

文章が読みやすければ、ストレスなく情報を確認できるようになります。

視認性の高いホームページは、シニア世代だけでなく、スマホやタブレットの利用者や視力が弱い方にとっても優しい設計だと言えるでしょう。

なお、シニア層が読みやすいフォントサイズは、一般的に「16px以上」とされています。

ボタンやアイコンはわかりやすく

文字サイズと同様に、ボタンやリンクなども大きくするなど、操作性への配慮も大切です。

シンプルでわかりやすいデザインを採用することで、操作ミスを防ぎ、目的のページへスムーズにアクセスできるようになります。

また、ボタンの名称もわかりやすい表現にするなど、「迷わない導線づくり」を意識することが重要です。

コントラストはしっかり

シニア向けホームページには、視認性の高い「くっきりデザイン」がおすすめです。

特に重要なのは、文字と背景のコントラスト比です。

Webサイトにおける文字と背景のコントラスト比は、一般的には4.5:1が推奨されていますが、シニア向けの場合は5:1以上にするのが理想的だと言われています。

また、配色にも十分な配慮が必要です。

年齢を重ねると「灰色」や「黄色」といった色味は認識しづらくなる一方で、「緑色」は男女を問わず好まれる傾向があります。

文章は短く簡潔に

文章は長くなればなるほど理解しづらくなるものです。

できれば1文は30~40文字程度に収め、適宜改行を入れることで、シニアを含む全世代がスッと読めるように配慮したいところです。

理解しにくい言葉には注釈を

わかりづらい言葉は、それだけで「理解」の妨げになることが少なくありません。

専門用語や難しい横文字を多用すると、読み手が内容を理解できず、必要な情報を得られない可能性があります。

たとえば、医療機関のWebサイトで「インフォームドコンセント」という言葉を使用する際には注意が必要です。

「医療従事者が治療内容やリスクなどを十分に説明し、患者さんが理解したうえで同意すること」といった、わかりやすい注釈をつけるのが望ましいです。

心に響くコピーを

広告コピーを作成する場合は、ターゲットにしっかり届く表現やリズムを意識する必要があります。

コピー作成のノウハウのひとつに「数字を入れて訴求力を高める」という方法がありますが、シニア向けのコピーも例外ではありません。

 

特に「60代からの保険」「75歳になってもハイヒールを!」といったように、年齢をキーワードとして使用することで、より「自分ごと」として受け止めてもらいやすくなります。

たとえば、有名コピーライターの岩崎俊一さん・岡本欣也さんが作成した老人ホームのキャッチコピーに「65歳からの、未来。」というものがあります。

 

このように、シニア層にとって使いやすいWebサイトを作成するためには、常にユーザー目線で設計することが非常に重要だと言えるでしょう。

心に響くコピーを

シニアとSNSの活用事例

シニアのデジタルメディア活用を語るうえで、InstagramやFacebookなどのSNSは欠かせない存在です。

情報収集の手段として閲覧する人もいれば、ファッションや料理といったジャンルで自らインフルエンサーとして活躍するシニアも少なくありません。

 

このように多様な形でデジタルメディアを使いこなすシニア層に向け、企業が自社のSNSを活用するケースも増えています。

次に、シニア層に向けて積極的にSNSを活用している企業の事例をご紹介します。

介護老人福祉施設 やまゆりの里

兵庫県丹波篠山市にある介護老人福祉施設「やまゆりの里」。

こちらの施設では「夢をかなえる介護」をコンセプトに、InstagramやTikTokといったSNSを活用し、施設の様子や介護に役立つ情報を日々発信しています。

Instagramのフォロワー数は14.5万人、TikTokのフォロワー数は2万5,200人と、その影響力は非常に大きいです。(2024年4月現在)

また、「キャバクラ」や「ホストクラブ」といった、介護施設のイメージを覆すようなキャッチーなイベントを多数企画し、そのユニークさからテレビなどのメディアにも取り上げられています。

「自分や自分の親もこちらの施設にお世話になりたい!」「介護士として働きたい!」といった声も多く寄せられており、数多くのファンを獲得しているのです。

 

 
 

 
 

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こちらの施設では、各SNSのプロフィール欄に自社ホームページのURLを掲載している点も特徴のひとつです。

文字通り、SNSからいつでも戻ってこられる「ホーム」の存在をしっかりとアピールしています。

 

SNSは認知拡大に適している一方で、ホームページは「企業の公式な情報源」であるため信頼性が高く、申し込みや資料請求、採用応募などにもつなげやすいのが強みです。

まさに「SNS×ホームページ」の相乗効果が期待できる好例だと言えるでしょう。

 

株式会社ベアーズ

家事代行や家政婦の派遣で有名な「ベアーズ」。

掃除や片付けといった日常の家事をサポートしてくれるだけでなく、実は高齢者支援サービスも提供しています。

この支援サービスでは、介護保険制度の枠にとらわれず、高齢者が住む家の掃除、洗濯、料理などを代行してくれるほか、ライフスタイルや要望に合わせてオーダーメイドで依頼できるのが特徴です。

さらに、訪問時の様子を家族に伝えてくれるサービスも用意されています。

また、ベアーズでは自社の取り組みや家事代行の内容を、Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、LINE公式アカウント、YouTubeなどを通じて積極的に発信しています。

高齢者ご本人はもちろん、高齢者の生活を心配する息子や娘といった家族との新たなコミュニケーションづくりにも取り組んでいるのです。

 

 

 
 

 
 

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最後に

時代の流れとともに、デジタルメディアに慣れ親しむシニアは年々増えてきています。

インターネットやスマートフォンを駆使し、情報収集やコミュニケーションを楽しむシニアの姿は、もはや珍しくないと言えるでしょう。

 

一方で、直接手に取れる新聞や会員誌といったアナログ媒体も「古くから続く信頼できる情報源」として、今もなお多くのシニアに親しまれています。

そのため、シニアマーケティングにおいては、デジタルとアナログの両面を戦略的に活用することが重要だと言えるでしょう。

 

また、多くのシニアは「熟考型」の消費者と言われ、購入に至るまでの意思決定に時間がかかる傾向があります。

「失敗したくない」という慎重な心理から、商品やサービスをじっくりと吟味してから購入するのが特徴です。

 

このため、シニアマーケティングでは短期的な成果を追うのではなく、中長期的な視点で取り組むことが欠かせません。

丁寧にコミュニケーションを重ね、信頼関係を築くことで、シニア層からの支持を獲得しやすくなると言えるでしょう。

 

 

 

 

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