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Column コラム

売上が桁違いに伸びる!? 女性向け商品のネーミング戦略と成功事例

名は体を表す」とよく言われますが、ネーミングはそのものの印象を左右する重要な要素です。

 

2022年、東京都は「育児休業」の愛称を「育休」から「育業(いくぎょう)」へ変更しました。

「子育てを“仕事を休む期間”と捉えるのではなく、“社会の宝である子どもを育む大切な仕事の時間”と考えよう」という思いが込められています。

この呼称変更には、男性の取得を促す狙いも含まれているそうです。

 

また、かつて「はだいろ」と呼ばれていた色鉛筆やクレヨンも、固定観念を避けるため「うすだいだい」と表記が改められました。

 

こうした事例からも分かるように、ネーミングが与える印象は大きく、売上や認知度に直結します。

 

そこで今回は、女性向け商品のネーミングのポイントと、実際に名前を変えることで売上が10倍以上伸びた事例をご紹介します。

女性向け商品のネーミング3つのコツ

女性をターゲットとした商品のネーミングを考える際には、まずターゲットや自社商品の強み、そして伝えたいメッセージを明確にすることが大切です。

その上で、商品の魅力を的確に伝えるために取り入れたいポイントがいくつかあります。

今回は、その中から3つをご紹介します

女性向け商品のネーミング3つのコツ

1、専門用語は避け、親しみやすい言葉を使う

女性はスペックよりもイメージによって心が動かされることが多いものです。

販売する側としては、つい商品の機能性や専門性を強調したくなりますが、大切なのは「売り手目線」ではなく「買い手目線(お客様目線)」で考えることです。

 

実際に、女性ユーザーが知りたいのは商品の専門的な知識や技術的な用語ではなく、「この商品を使うことで自分にどのような良いことがあるのか」というベネフィットです。

そのため、業界特有の難しい専門用語は、ユーザーが理解しやすい日常的な言葉に置き換えて表現するようにしましょう。

 

例:
・200万画素の高感度性能カメラ → 映画のワンシーンのような夜景が撮れるカメラ

・従来品の3倍の吸収力を誇るタオル → 一度でスパッと拭き取れるタオル

 

難しい表現を避け、身近な言葉に置き換えることで、女性ユーザーの共感を得やすくなります。

2、相反する言葉を組み合わせて印象を強める

修辞技法(レトリック)のひとつに、撞着語法(どうちゃくごほう)があります。
これは、矛盾する言葉をあえて組み合わせて、人々の関心や注意を引きつける表現方法です。
「対義結合」や「オクシモロン」とも呼ばれています。
撞着語法を用いた表現としては、「小さな巨人」「負けるが勝ち」「無知の知」などが挙げられます。
映画のタイトルでは「もののけ姫」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などもその例です。
ちなみに「もののけ姫」には、「アシタカ聶記(せっき)」というタイトル案もありましたが、最終的にはプロデューサーである鈴木敏夫氏の強い意向によって「もののけ姫」に決定しました。
その結果、「もののけ姫」は興行収入193億円、観客動員数1,420万人を記録する大ヒット作品となりました。

3、使用シーンを直感的に想起させる

女性は感覚的にイメージをつかむのが得意と言われています。

そのため、ネーミングも「瞬時に使う場面が思い浮かぶ」ものが効果的です。
たとえば、「ホームページはどんなものなのか」という問いに対して、
ホームページは、インターネット上で自社の商品やサービスの詳細を紹介するものです
というよりも、
ホームページは、24時間休まずに働いてくれる営業マンです
の方が伝わりやすいでしょう。
同じように、ネーミングにおいても「比喩表現」や「擬音語・擬態語」を用いることで、より強くイメージが湧きやすくなります。

たとえば、擬音語・擬態語を取り入れた商品名には「プチッと鍋」や「プッチンプリン」などがあります。

どちらも、名前を聞いただけでどのように食べるのかが直感的に思い浮かびます。

さらに、食器用洗剤「キュキュット」は、油汚れがすっきり落ちてピカピカになったお皿を指でこすったときの音をイメージさせるネーミングです。

 

どのようなときに使用する商品なのかが瞬時に伝わるネーミングは、イメージを膨らませるための重要な要素のひとつです。

そうしたネーミングが、「私も試してみたい」「一度使ってみよう」という気持ちを生み出します。

売上が10倍以上伸びたネーミング事例

ここまで、女性向け商品のネーミングを考える際に取り入れたいポイントについてご説明してきました。

次に、実際に商品名を変更したことで売上が大きく伸びた事例を2つご紹介します。

売上が10倍以上伸びたネーミング事例

「三陰交をあたためるソックス」 → 「まるでこたつソックス」

岡本株式会社が販売している冷え対策靴下「まるでこたつソックス」。

実はこの商品、2013年の発売当初は「三陰交をあたためるソックス」という名称でした。

三陰交とは、足のくるぶし付近にあり、冷えに効果があるとされるツボのことです。

 

しかし、女性ユーザーには「三陰交」という言葉がわかりにくく、売上にはなかなかつながりませんでした。

そこで、商品の特徴をよりわかりやすく伝えるために「まるでこたつソックス」と改名したところ、売上はなんと約17倍に!

 

「まるでこたつ」という親しみやすく理解しやすい比喩表現を用いることで、「寒い日でも快適に過ごせる」「足元がポカポカにあたたまる」といったベネフィットを的確に訴求でき、女性ユーザーの心をつかんだ好事例となりました。

 

なお、もともと商品名に使用していた「三陰交」という言葉は、現在は商品説明の中で活用されています。

また、近年は「靴下サプリ」シリーズとして、「まるでこたつレッグウォーマー」や「まるでこたつ足首ウォーマー」など、新しい商品も続々と展開されています。

「ネピア モイスチャーティッシュ」 → 「鼻セレブ」

しっとりとしたやさしい肌触りが人気の「鼻セレブ」。

1996年の発売当初は「ネピア モイスチャーティシュ」という名称でした。

当時は保湿ティッシュそのものの認知度が低かったため、売れ行きはあまり良くなかったそうです。

中には、モイスチャーティッシュをウェットティッシュと勘違いする人もいたといいます。

 

そこで2004年に、鼻に使う高級ティッシュという意味を込めて「鼻セレブ」という名称に変更したところ、一躍大人気商品となり、売上は改名前の10倍以上に伸びました

 

「鼻」という身近なワードに、「セレブ」という一見ミスマッチな言葉をあえて組み合わせたことで、人々の心に残る強いインパクトを持つ商品名になったことも、ヒットの要因だと言えるでしょう。

まとめ

今回は、女性向け商品のネーミングのコツと、商品名を変更したことで売上が大きく伸びた事例をご紹介してきました。

 

もちろん、商品のネーミングだけでなく、パッケージデザインも売上を左右する重要な要素のひとつです。

たとえば「まるでこたつソックス」は、ネーミングの変更に合わせて、シニア層を意識したデザインから、プチギフトにも使えるようなシンプルですっきりとしたデザインへと刷新されました。

また「鼻セレブ」は、商品のやわらかさを視覚的に伝えるために、アザラシやうさぎ、オコジョといったふわふわしたイメージの動物写真をパッケージに採用しています。

 

このように、訴求力の高いネーミングとパッケージデザインを組み合わせることで、商品の印象をより明確に伝え、売上アップにつなげることができます。

 

商品のネーミングを検討する際はもちろん、キャッチコピーやキャッチフレーズ、さらにはブログのタイトルを考えるときにも、ぜひ参考にしていただきたいです。

 

 

 

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